いつの頃からでしょうか、大原は高野川右岸にならぶ山並みを「大原三山」と呼ぶようになりました。地形図で確認できる山頂の一つひとつに名前をつける習慣は明治・大正以降のものですが、それをグルーピングするのはもう少し時代が下がるかも知れません。確かに三千院の近くから対岸を眺望すれば、向かって左から右へ(南から北へ)金比羅山・翠黛山・焼杉山となり、顕著な三つの山頂が確認できるので「三山」という括り方にも頷かれます。
これら山々には、どれか一つを取り上げて特筆するにかなう魅力があるわけではありません。それでも麓に広がる大原の里と併せて、里山の雰囲気を楽しむという目線で眺めれば、三山のどれを取ってもその嗜好を満たしてくれます。三千院や寂光院などの名刹探訪で終わらせるのも結構ですが、里歩きや三山のふところに入れば、大原の魅力はより深く見えてくることでしょう。
江文峠−金比羅山(三壺大神):約1時間、−翠黛山:約30分、−焼杉山:約1時間、−古知谷阿弥陀寺:約40分